一本刀土俵入り - 三波春夫 (みなみ はるお)
詞:藤田まさと
曲:春川一夫
千両万両
積んだとて
ぜにじゃ買えない
人ごころ
受けた情の数々に
上州子鴉
泣いて居ります
泣いて居ります
この通り
「わしゃア姐さんのようないい人に、
めぐり逢ったのは初めてだ、
はい、はい、
きっと成ります。
横綱になった姿を姐さんに見て貰います。
そしてなア、わしゃ、
死んだおっ母さんの
御墓の前で立派な土俵入りがしたい……。」
野暮な浮世のうら表
教えこまれて一昔
夢でござんす
なにもかも
すもう修業も
今じゃ日蔭の
今じゃ日蔭の
三度笠
「角力にゃなれず、
やくざになって
尋ねて見りゃこの始末。
さァ、姐さん、この金持って、
早くお行きなせえまし。
飛ぶにぁ今が汐時だ。
後はあっしが 引受けました。
さァ、早く 早く 行きなさいまし。
ああ、もし、お蔦さん。
親子三人、何時までも
仲良く御暮しなさんせ。
十年前に 櫛、笄、巾着ぐるみ、
意見を貰った
姐はんへ、
せめて見て貰う駒形の
しがねぇ姿の 土俵入りでござんす。」
御恩返しの
真似ごとは
とって宿場の仁義沙汰
御覧下され
お蔦さん
せめて茂兵衛の
花のでず入り
花の手数入り
土俵入り