静寂がこだまする
涼しげな夜の匂いは
そこにあった季節を
風が運び去ったみたいだった
いつの間にか鳴かなくなった
蝉の声は
心を締め付けるような
涼しさに変わっていた
祭囃子が遠く響いていた
夏はもうそこで終わっていた
時間の中で生きているから
私たちはまた進んだ
過去の残響に飲まれそうだ
夏の終わりに 日々を歌った
進み出せない私たちのことを
匂いが 想いが 飲み込むんだ
煩かったあの頃の蝉の声が
どこか美しく思えるのは
思い出がこんなに輝くから
随分と高くなって
晴れた澄んだ空は
あの入道雲の面影を
全て消し去っていた
夜空の星が暗くなってた
夏はもうそこになかったんだ
過去だけじゃ生きられないから
私たちはまた進んだ
過去の残響はまだ止まない
夏の終わりが 思い出させた
過去に縛られていた あの日々も
美しさに飲み込まれた あの日々も
全部昔のことだ
今はもう何処にもない
夏の終わりで 日々に歌った
進み出した私たちはもう
あの頃から 変わったんだ
聞こえなくなった 蝉の声よ
ここから未来が私の世界だ
その寂しさを埋めるため
その煌きを捨てるから
残響を超えるんだ
今