意欲的な活動を続けてきた2000年に発表する2枚目のオリジナル・アルバム。名盤『JP』につづく期待作だ。ピアノ・トリオの可能性を極限まで追求した、完成度の高い内容が注目される。 昨年10月発売の1枚目にして名盤『JP』では、早くも独特の色を発揮したクラムボン。そして待望の2作目となる本作では、唯一無二の個性がさらに弾ける。(1)のカタカナ四文字を多用した歌詞にまず驚かされ、先行シングル曲(2)では原田郁子の一度聴いたらそれと認識できる強烈な個性を持った歌が、シンプルなピアノの響きとリズム隊に絡みつく。また(3)のようなハードなサウンドがあるかと思いきや、一転打ち込みを前面に出したポップ・チューンの (5)など、曲構成もバラエティに富んだ内容。いろいろな傾向の曲があるということは、ひとつ間違えれば作品全体として散漫な印象を与えかねないが、本作からは決してそんな感じはしない。それは原田の強烈な個性的ヴォーカル・スタイルが共通項として作用しているところが大きく、また全曲の作曲を担当するミトの繊細でありながら大胆なセンスと融合することで、さらに煌めきを増す。原田の言葉選びの感覚の鋭さも大きな魅力。捨て曲なしの大傑作! (土橋一夫) --- 2000年11月号